お願いの仕方がいけなかったのかな。
そう思い、家に帰るなりもう一度“黒いてるてる坊主”にお願いをしました。
――来週もずっと雨が振り続けますように。
もしかしたら、数も少なかったのかもしれない。
私は“黒いてるてる坊主”を5個に増やしました。
お母さんが不気味がっていたので、物干し竿から場所を移し、自分の部屋の窓にあるカーテンレールに皆を吊しました。
その日から、ずっと雨が降っています。
用水路から水が溢れ出し、自宅近くの道路にも水が流れ込んでいます。
学校近くの川が氾濫して、運動会なんて行える状況ではなくなりました。
雨は、まだ止みません。
それどころか、どんどん酷くなっていきます。
もしかして……私が作った“黒いてるてる坊主”のせい?
そう思うと、途端に怖くなりました。
私はただ、運動会が中止になってくれたらそれだけでよかったんです。
「避難警告が出たから、早く用意して避難場所まで行きましょう」
お母さんに急かされ、私は自室に向かいます。
水色のリュックサックに必要な物を詰めながら、“黒いてるてる坊主”を見ました。
並んだ5つの黒い頭は、窓の外を見て泣いています。
私はそれを全て回収しました。
ごめんなさい、もう雨を降らさないで。
勝手なお願いをしてごめんなさい。
そう強く念じながら輪ゴムを解き、新聞紙とゴミ袋に分けてから捨てました。
それが良かったのでしょうか。
お母さんと避難した数時間後。
雨はゆっくりと止み、分厚い雨雲の隙間から光りが射しました。



