白手 憂怜の怖いお手紙


私はキッチン用品の買い置きが並ぶ収納棚へと向かい、そこから黒いゴミ袋を持ってきました。

なぜ黒いゴミ袋にしたのか、今となっては分かりませんが……黒い画用紙が無かったからとか、そんな単純な理由だったと思います。

とにかく“てるてる坊主”の逆を作るため、黒い物が必要でした。

新聞紙を一枚グシャグシャと丸めて、それをゴミ袋で包みこんで頭を作ります。

首を輪ゴムで縛り、白いマーカーで顔を描きます。

仕上げに涙を流して口元を歪ませて……その“てるてる坊主”は完成しました。

白くて笑っている、いつものそれとは明らかに真逆の存在。

私はそれをベランダの物干し竿にくくりつけました。

泣きながら晴天を見つめる“てるてる坊主”に、私は両手を合わせて目を閉じ、お願いをします。


――明日の運動会、雨で中止になりますように。


ただの気休めでしたが、私の心は幾分かスッキリとしていたのを覚えています。

そして、運動会の当日。

目覚めた私はパジャマ姿で目を輝かせながら、リビングの窓から外を見ました。

空は暗い雨雲に包まれていたのです。

ゴロゴロと雷の音も遠くて鳴っています。

本格的に雨が降ってきたのは、私が学校に行く準備を整えていた時でした。

バケツをひっくり返したような土砂降り。

お母さんが運転する車に乗り込み学校には行きましたが、運動会は次の週に延期となりました。

せっかく運動会が中止になって嬉しかったのに、延期という先生の言葉に私は再び憂鬱になります。

だって、それじゃまた来週には運動会が行われるという事でしょう?

それではあの“黒いてるてる坊主”を作った意味がないじゃないですか。