白手 憂怜の怖いお手紙


授業中も女は校門に立っています。

それを窓際の席から見るたびに、どうしようと焦る心を必死に落ち着かせました。

それから数時間後。

下校の時間が来ました。

学校指定の黒いカバンに教科書を詰め込みながら再び校門を見ると、女の姿がありません。

その事に安堵して教室を出た私は、階段へと続く廊下を歩き――そこで、息をのみました。

廊下に赤いコートの女が立っていたのです。

私は思わず悲鳴を上げ、その場から逃げました。

後ろからコツ、コツ……とヒールの靴音が聞こえます。

女は私を確実に追ってきていました。

道中の記憶は定かではありませんが、私は息を切らして家へと逃げ帰ったのを覚えています。

その日の夜。

自宅の二階にある自分の部屋の窓から外を見ると――女は近くの自動販売機の横に立っていました。

家族に話そうか迷いましたが、昔幽霊を見たと言った時の困ったような表情が脳裏にチラつき、どうしても言えません。

私は考えうる限りの除霊方法を試しました。

部屋に盛り塩をして、お経を唱えて、近くの神社でお守りを買って。

ですが、女は変わらず私について来ました。

それが5年前の出来事です。

長い月日が経ち、私は成人になりました。

遠くの町で独り暮らしの生活を始めた今現在も、女は私の住むアパートの前に佇んでいます。

なぜこの女は私に執着するのでしょう。

いつになれば、私はあの赤い女と離れる事ができるのでしょうか。