白手 憂怜の怖いお手紙


憂怜さん、こんばんは。

僕の体験した怖い話を聞いてください。

確か、梅雨の時期だったと思います。

僕の住む場所からそう遠くない所に、ぽつんと一つのトンネルがあるんです。

車が一台と人間が一人通れるくらいの狭い幅。

長さも歩いて3分くらいしかないような、小さなトンネルです。

僕はよくそのトンネルを使います。

道は他にもありますが、そのトンネルを抜けると駅や公民館、コンビニなどが並ぶ道へと抜けられる……いわば“近道”でした。

その日も図書館に向かうためジメジメとしたトンネル内に足を踏み入れます。

二週間前に借りていた本が入っている、重たいカバンの取っ手を肩にかけて薄暗いコンクリートの道を歩いていると、目の前に人影が見えます。

その人を見て、僕は心の中で“またか……”とため息を吐きました。

なぜなら、その人はいつもトンネルに佇んでいるからです。

まあ……僕自身いつもトンネルを通っているというワケでもないので、本当にその人がずっとその場所にいるのかは知りませんが。

とにかくその人は少なくとも、僕がトンネルを通る時には必ずそこに立っていました。