僕のことが好きな2人

 二通の手紙が入っていたのは特に何もない水曜日だった。
 いつも通り8時5分発の電車に乗り、友達の透と話しながら教室に入り、窓際の自席に座った。
 カバンの整理をしていると、担任が入ってきてホームルームが始まる。
 テストまで一週間で、高校に入って二度目のテストだから頑張るように、と耳が痛いが始まる。
 “テスト”の言葉を聞き、テスト前に確認するように机の中に手を突っ込んだ。
 中で何か紙のような物に触れ、それを引っ張り出す。出てきたのは…手紙だった。
 手紙は二つとも白色で、それぞれに名前が書いてあった。
 一通は学年一の高嶺の花の美織からで、もう一通は学年一の人気者の葉夏からだった。
 そっと二人に視線を向けてみる。二人は担任の話を普通に聞いていた。
 二人とも話したことなんてないし、クラスの端にいるような僕に手紙なんて、何かの罰ゲームだろうか。だったら迷惑だからやめて欲しい。
 周りを見渡すが、誰も僕の方をチラチラみている様子はないし、罰ゲームではないのかもしれない。
 とりあえず僕は手紙を開いてみることにしてみた。
【旬君へ
 いつも真面目な姿がカッコいいなと思ってます。
 良かったら今日の放課後、教室に残って下さい。お話があります。           美織より】
 きれいで整った字だった。勉強はできるのか知らないけど、顔も整ってるし、持ってるものもおしゃれで完璧なんだろうなと思った。
 それよりも本当に僕だったんだ、という気持ちの方が強い。
 葉夏の手紙も開いてみた。
【旬くんへ
 急に手紙出してごめんね。びっくりしたよね?
 いつも友達と話している表情を見ています。
 良かったら今日の放課後、体育館裏に来て欲しいです。                葉夏より】
 美織とは違った小さくて可愛い字だった。
 モテ期が僕に来たってことだろうか。不思議な出来事に胸が高鳴る。
 誰も僕が手紙を読んでいることに気づいていないかを確認して、手紙をカバンにそっと入れた。