笑顔の仮面は君の前だけ壊れる

翌朝。

会社へ着くと、課長から声をかけられた。

「白石さん、防犯カメラを確認するから来てくれる?」

私は緊張しながら管理室へ向かった。

モニターには、昨夜の倉庫前の映像が映し出される。

画面の中の私は、書類を抱えて倉庫へ入っていく。

その数秒後だった。

黒い帽子を深くかぶった人物が廊下を横切る。

顔は見えない。

その人物は周囲を確認すると、静かに倉庫の扉へ近づき、何かを操作した。

そして、そのままカメラの死角へ消えていく。

「……この人は誰だ?」

課長が顔をしかめる。

映像を何度見返しても、正体はわからない。

すると、その数分後の映像が流れた。

エレベーターから飛び出してきた朝比奈さんが、廊下を全力で走っている。

迷うことなく倉庫へ向かい、扉を何度も叩いていた。

その姿を見た私は、思わず息をのんだ。

「朝比奈さん……。」

少なくとも、扉を閉めた人物ではない。

そう思った瞬間だった。

管理室のドアがノックされる。

「失礼します。」

入ってきたのは朝比奈さんだった。

「映像、確認できましたか?」

優しい笑顔。

だけど、その笑顔を見た途端、管理室のモニターが突然真っ黒になった。

画面には、白い文字だけが浮かび上がる。

『まだ信じるの?』

部屋の空気が、一瞬で凍りついた。