笑顔の仮面は君の前だけ壊れる

第15章 佐伯真奈からの贈り物

翌日。

私は昨夜届いた動画をもう一度開こうとした。

しかし、画面には

「このファイルは削除されました」

という文字だけが表示される。

「そんな……。」

確かに見たはずだった。

佐伯真奈の顔も。

最後のメッセージも。

なのに、何も残っていない。

昼休み。

一人で屋上へ向かうと、ベンチの上に小さな茶色の封筒が置かれていた。

私の名前は書かれていない。

それでも、なぜか自分宛てだとわかった。

周囲を見渡しても誰もいない。

ゆっくり封を開ける。

中から出てきたのは、一冊の小さな黒い手帳だった。

表紙には何も書かれていない。

ページをめくると、日付も予定もなく、短い文章だけが並んでいた。

『優しい人ほど疑われる。』

『本当に怖い人は、優しく近づいてこない。』

そして最後のページ。

そこには震えた文字で、こう書かれていた。

『神崎さんを信じて。朝比奈さんを疑わないで。』

私は思わず立ち上がる。

「どうして……?」

その瞬間、背後から風が吹き抜け、手帳の間から一枚の写真が床へ落ちた。

拾い上げると、それは会社の社員旅行で撮られた集合写真だった。

写真の隅には、笑顔で並ぶ朝比奈さんと神崎主任。

そして、その二人の間で楽しそうに笑う佐伯真奈。

写真の裏には、たった一文だけ書かれていた。

『犯人は、まだ笑っている。』