笑顔の仮面は君の前だけ壊れる

第12章 消えた社員のロッカー

「次に消えるのは、あなた。」

その一文が頭から離れないまま、昼休みを迎えた。

朝比奈さんとの約束を断り、一人で更衣室へ向かう。

目的は一つ。

佐伯真奈という女性のことを知るためだった。

更衣室の一番奥。

使われていないロッカーが並ぶ場所で、一つだけネームプレートが外されたロッカーが目に入る。

鍵は掛かっていない。

恐る恐る扉を開けると、中は空だった。

……いや。

棚の奥に、小さな封筒が一つだけ残されていた。

震える手で取り出す。

中には、一枚の写真。

会社の懇親会で撮られた集合写真だった。

楽しそうに笑う社員たち。

その中には若い頃の朝比奈さんもいる。

そして、その隣で笑っている女性。

名札には――

「佐伯 真奈」

写真を見つめていると、裏に手書きの文字があることに気づいた。

『笑顔に騙されないで。』

その瞬間。

「何してるの?」

背後から声がした。

驚いて振り返ると、美咲が立っていた。

「その写真……どこで見つけたの?」

「ロッカーの中に……。」

美咲の顔から血の気が引いていく。

「その写真は……処分されたはずなのに。」

その言葉を聞いた瞬間、更衣室の照明が一度だけ消えた。

パッ――。

再び明かりがついたとき。

私の手の中にあった写真は、跡形もなく消えていた。