大型犬男子は、今日も私を甘やかす【完】

「昨日さ」

歩きながら、陸斗がぽつりと呟いた。

「ん?」
「……酔ってたな」
「やめて、それは思い出させないで」

思わず早歩きになると、後ろから小さく笑い声が聞こえた。

「でも」

陸斗が少しだけ声のトーンを落とす。

「嫌じゃなかった」

その一言に、心臓が変な音を立てる。

「……そういうの、ずるい」
「何が?」
「何でもない!」

前を向いたままそう返すと、また小さく笑われた。
昨日の続きみたいな今日が、静かに始まっていく。