妹の言い訳に騙されるだけの周りは見捨てて楽しく生きます!

 妹のロクサーヌと私の婚約者である王太子様であるチャールズ様が浮気をしている場面を目撃した!



 私が「チャールズ様?それからロクサーヌこれはどういうことですか?」と当然問い詰めると、チャールズ様は馬鹿なので、


「いや君の誤解だ」とか何とか言ってるが、ロクサーヌは平然とほざいてくる!




「お姉様?純粋に考えて下さいな、私達公爵家と、王太子様の政略結婚ですわ、つまり王太子様が私とお姉様とどちらがいいかを決めればいいだけですわ!」




「……私と王太子様が婚約していたのよ、その約束はどうなるわけ?」




「私達は家臣の身分よ、何故約束などと王太子様に強要する権利があって?」



 ……腹正しいのが、ロクサーヌが心底従順な家臣でこういうことを思っているのならまだ筋が通る。


 だが実際は自分に都合がいい時だけ忠義みたいなことを出してきて、違う時は平気で約束が大事ですなどとほざくタイプなのだ!



「流石はロクサーヌ、ほらロクサーヌのように賢明でかわいいものを妻とするのは王家の務めであろう!」



 ……ただ浮気をしたいだけの男のくせによく言うわ!



 確かに政略結婚でもあるし、チャールズ様を愛していたわけでは無いので、そういう意味で私も切り替えればいいのだが、問題は私をないがしろにしていいと、このチャールズ様が絶対に思っていることが伝わることだ。


 それだけはいくら王太子様であっても、腹正しいのだ、限度がある。


 家臣と言えど、あまりな屈辱を強要されるいわれはないのだから!



 私はお父様とお母様にこのありさまを伝えるも、事なかれ主義の権化であるお父様は……


「まぁロクサーヌの言う通り、他家に王太子様の婚約者を取られるのならともかく、我が家から出るのであれば特に困らないからな!」



「私がないがしろにされるのはどうでもいいので?」



 これについてはお母様が卑屈主義なので、



「女はね我慢が大事なのよ!」


 と来たものだ、じゃあロクサーヌが我慢しないことは無視ですかそうですか。


 本当にこの親が馬鹿だからこそロクサーヌは舌先三寸でやりたい放題だと言うことも気づけないのか!



 さらにロクサーヌの奴が現れて、


「お姉様考えて下さい?チャールズ様は私を愛しているのよ、お姉様と結婚したって、お互い不幸になるだけでしたわ、だからこれですべてが丸く収まるのよ!」



 言ってることは間違っていないが、奪ったお前が言う権利が無い、これがすべてである。


 しかしお父様もお母様もチャールズ様も全員、


「ロクサーヌは何て賢いし正しいんだ!」と来たものだ。


 本当に馬鹿しかいない。



 こいつらの言ってることは仮にカギをつけ忘れたら泥棒に入られた時、泥棒に「鍵もかけないのが悪い」と言われてその通りだから、盗んでいいですよって許可するようなものだ。

 自分自身の反省や、せめて第三者の忠告ならばまだ理解できるが、盗人そのものの言い訳として通すなんてどれだけ馬鹿何だって話である!



 ……所詮自分が被害者じゃないからこういう戯言を思っているのかもしれないですね。


 だとしたらそれはそれで、この家は私にとって価値が無いということです。


 馬鹿だとしても価値無し、自分事じゃないから適当ならば私を侮辱してるから価値無し。



 こうして私はこの馬鹿家に対して、一切の思い入れが今日まさに消え去ったのであった……!





 そして王妃様にも私が呼ばれる、何事かと思ったら、



「カサンドラよく来てくれたわね、頼みがあるのよ」



「王妃様何でしょうか?」



 私は嫌な予感しかしない、婚約破棄を私がした以上、もう私には関係無いことを何か言われそうだなと……




「これからもチャールズを助けてくれないかしら、もちろん婚約破棄をしたのは分かっているわ、でも貴女の力が必要なのよ!」



「……恐れながら王妃様、その役割はロクサーヌがすることでは無いのでしょうか?」




「無理よ、ロクサーヌは令嬢間の人望がまったくなくて嫌われてるじゃない!」



 ……流石王妃様それは知っていたか、というか、同性に嫌われるタイプですからねあいつ……



「だから王妃の役割の1つとして、令嬢達の手本になる、場合によっては女をまとめる役割があるじゃない、それを貴女にロクサーヌの代わりにやって欲しいのよ!」




 ……何で婚約破棄されておきながら、そんな大変なことをしないといけないのか。


 さらに王妃などの身分があるから、ある種の睨みが聞いて達成できるそういう仕事を、単なる公爵令嬢程度で、他の貴族令嬢にどうしてできると思うのか。


 無理筋にもほどがある、ということで私は流石に……



「いえ地位も権限も才能もないので無理です!」


 とはっきり言ってやった!


 すると王妃様は……



「王妃命令が聞けないと言うの!」


 と来たものだ、私は今誓った、この国は終わりだと!



 ……陛下は今残念ながら病気がちで、まともに政務ができないことをいいことに、王妃様と王太子様の親子の一派がやりたい放題なのだが、きっとそのうち内乱が起きると思う。


 今みたいな王妃様の強引な姿勢を持って確信した。

 故に私は……



「私には無理だと思うのですがそれで良ければ……」


 とだけ誤魔化して応じておいて、内心は国を捨てようと決心した。



 だってこの国に私にとっていいものなど何も無いのだから……



 このまま公爵令嬢としていることはリスクしかない。


 何故なら周りは私を使い捨てるだけ、さらに王妃様一派そのものが安定というわけではなく、もしも王妃様一派が負けたら、私も仲間扱いされて、よくて地位のはく奪、最悪処刑である。


 つまり王妃様一派が勝ってもこき使われ、負ければ巻き添えで酷い目に合う。


 冗談じゃない、この国に私のいる意味が無いのがはっきり分かったってものである。




 ということで、私は事なかれの帝王であるお父様に言う。



「私が今ここにいることは、王太子様の不名誉に繋がりかねずハッキリ言えば私の存在が邪魔になるかもしれないので、お父様のコネで、外国との外交の仕事を私に与えて下さい!」



 この誤魔化しは通り、そういう仕事が与えられた。


 あとはこの国を捨てて亡命するだけですわ!



 王妃様に何か呼ばれ、「貴女国内に残ってチャールズのために令嬢をまとめる仕事を断る気?」



 などと言われたが、ここが正念場!

 忌々しいが、ムカつくロクサーヌのように口先三寸を発揮しないと!


 そう言う意味であいつは貴族というものにとことん適応していただけかもしれない。



 しかしだ、私は自分の身を守るために過ぎないが、あいつは積極的に矛盾をしようがしている盗賊そのものなので、そこは違うと個人的には言いたい……



「恐れながら、私は一応語学もそれなりにできますし、この地位をいかして外交の使者になることは、国内で令嬢をまとめるよりも、チャールズ様や王妃様に貢献できると考えたわけです!また私が国内に残ると、元婚約者などという面倒くさい立ち位置となって、チャールズ様に迷惑がかかるからでございます!」




「その通りね、いいわ頑張りなさい!」



 上手く誤魔化せましたわ。


 ……本来こんなことはしたくないけど、貴族って嫌なものね……


 生活が安定しているから、平民よりは絶対的にいいと思うけど、私は平民の金持ちのほうが、貴族よりもいいなと思ったりもした……



 こうして外国で友好などをする外交官になったのだが、私がすることは、どの国が亡命候補としていいかということである。



 まず我が国よりも小国相手は難しい。何故なら我が国と敵対をしたくないだろうから、亡命を受け入れずに送り返すだろうから。



 ならば大国ならどうだろうか?これも簡単では無い。


 私ごときよりも優秀な人材はたくさんいるだろうから、私ごときを受け入れる利益と、亡命を受け入れるなんて外交的デメリットを天秤にかけたら、中々前者になりそうもない……


 うーんどうしたものか!



 こうして悩んでいる間、私は幸運なことに隣国の大国の王子様と会話できる仲になったのであった!



 王子様は後継者では無いのである種の気楽さと、しかし王家という重厚さを兼ね備えており、正直話していて楽しい方である。もちろん油断ならない雰囲気は漂わせているが!




「カサンドラ嬢、君は他の使者と違い、自国を過度に褒めたたえる傾向が無いのだが、何かあるのかね?」



 ……す……鋭い!私はあの国を見限っているからこそ、おそらくどこか塩対応になっていることを見抜かれているのだ!



「そ……そんなことはないと思いますわ!」


 などと言い訳を言うも、どこかぎこちないのできっとバレてしまった!




「……おそらく何かありそうだね、良かったら教えてくれないだろうか?口先だけで褒めたたえてダンスを踊るだけなら、外交などする意味が無いだろう?」



 もっともな主張に圧倒され、私は注意しながらも、つい自分の事情を少し話すことになったのであった!




「私はあの国では元王太子様の婚約者で破棄されたものですので、別に国家を恨んでいるわけではないのですが、どうしてもその辺りで、どこか引き気味であったのかもしれませんわ!」



 明らかな事実だけを言うが、実際は国家を見限っていることは隠す!これで誤魔化せたと思うのだが……



「その事実はもちろん知っているよ、だがそれだけには思えないのだが?」


 などとこの方は鋭い!




「いえそんなことはありませんわ、あくまで個人のことと使者としての務めは別ですわ?」




 私がこのように言っても普段よりも言い方がどこか弱い!


 これがあの忌々しいロクサーヌならもっと口先三寸だったのかなと思わなくは無い!




「……正直言うと、君のその嘘を付くには付くが完全に積極的に騙そうとするほどタチが悪いわけでは無い点、素晴らしいと思うよ?」


 ……まいったな……私がロクサーヌと自分の違いとして思っていたことを、偶然だろうけど当てられて褒められてしまったかのように感じたので、


 正直私はこの王子様ならば、色々言ってもいいかもと思ってしまった。

 無防備かもしれないが、私も1人でやっていくのに正直辛かったのだろう!




「恐れながらその通りです、私は不遇ではあるので、許されるのならば、王子様に仕えたいと思います!」



 ああ、勢い余って言ってしまった!いきなりすぎて驚かれるかなと思ったら、王子様は考え込むでは無いか……




「……なるほど……流石に私に仕えたいと言われ、外国のものをはいいいですよとは即答できないが、もう少し話を聞かせてもらえないだろうか?またこの件について、仮に条件が合わなかったとしても、君を追い詰める気は無い!」



 最後の発言は私を安心させるつもりで本当に絶対そうである保証など無いのだが、何となく私はこの王子様を信じてしまったのである!

 やはり1人で色々企むほど私は強く無かったのかもしれない!



「私の家は公爵家であり、ご存じかと思いますが、お父様は事なかれ主義、お母様は卑屈主義、しかし何よりも許せないのが妹のロクサーヌで、常に口先三寸で人を言いくるめ、自分の利益を極限まで追求している点です、もちろん自分が可愛いのは分かるのですが、ロクサーヌの許せない所は、その利益のために、昨日言ったことと今日言ったことの違いすら一切無視するごり押しをする点なのです!」




「なるほど、だからもう家を見限っていると?」



「さらにご存じのように王太子様は妹に取られ、別に愛していないから良かったのですが、王妃様すら私をないがしろにする婚約破棄をしておきながら、王太子様のために尽くせと言う国家なので、家にも国にも愛着が無くなったのです」



「……」


 王太子様は思案している感じだ。そしてさらに言う!



「それでもそれだけならば公爵令嬢の地位を捨てるほどではないと思いますが、今あの国は陛下が病気気味で政治が機能しておらず、王妃様一派とそれ以外の主導権争いがこれからどんどん加速していくと思います。つまり私は王妃様一派にされていて、中でこき使われているので、王妃様一派が勝っても地獄、負けたら酷い目に合うので地獄、国としても私個人としても泥船でしかないので、どうか私を泥船から救う道がありましたら、なにとぞお願いします!」




「なるほど、それならば私であっても逃げたいと思うだろう!義務だのなんだのは自分が生存できるからやることであって、死んでまですることでは無いからな!」



 ……私が王子様を信頼できると思った理由は、何て言うかこういう現実的な価値観を持ってる方だからだなと思ったりもした!



「……ハッキリ言おう、君を助けてあげたいと思うが、亡命を受け入れることはできない。流石に外交リスクがあるのでな!しかし回避する方法が2つある!」



「何でしょうか?」



「1つはこれは怒らずに聞いて欲しい、もちろん断ってくれて構わない、私に見いだされて好きになってしまったからついていったという、ようは私の愛人になることで、惚れた女が暴走して国を捨てて飛び出したと言う形にすれば、外交トラブルにならない!ただしこれは君にとって完全不名誉で、かつ私も政略結婚をしないといけないから君を妻にすることはできず、論外の提案であり、断ってくれて構わない!」



「……もう1つは何でしょうか?」





「……外交官としての亡命となるから受け入れを拒否するしかないのだが、単に君が平民として国家を移動すると言う形であれば、外交問題にならない!
 つまり勝手に君が私の国に逃げ、お尋ね者承知で国家に入り込み平民として生きると言う選択肢だ、もちろんこれも大変だが、お尋ね者の件については、私が適当に手心を加えて誤魔化せるから、ようは平民として生きると言う道だ、こちらも辛いだろうが、先ほどのに比べたらマシかと思うが……」



 うーん私は正直悩んだ、何故なら前者のほうが明らかに楽であり、さらに王子様のことは嫌いどころか、むしろいい人とすら思っているので、それも悪くないかなと。



 でも1つだけ思う、私はやはり自分のプライドが高いのだろう、愛人がいくら王子様がいいと思っても我慢できないのだ!


 ということで私は王子様にお礼を言う。



「正直言いますと王子様の愛人ならばいいかと思った自分がいます。しかし自分自身の下らない意地とプライドなのでしょう!決して王子様が嫌なのではなく、愛人という立場を自分が許せないと言う理由で、平民として生きたいと思います!」



「それでいいと思う、正直言うと私はちょっとだけ残念だけどね!」


 ……王子様も男なんですね……女好きな一面を見て私は笑ってしまった!



 王子様は亡命のための色々を手助けしてくれて、無事勝手に隣国に逃げたお尋ね者にはなったが、適当に誤魔化してくれるので、これから平民として何とかなりそうだ。


 そして私は公爵家から一応自分の分の色々を持ってきたので、最初の資金はある。


 貴族よりも平民の金持ちがいいなと前思ったように、これから自分でそうなろうと思うと、妙なワクワクも感じて、これからの生活楽しみになる自分に気づいたのであった!