熱く胸を焦がして

「はい。アウトドア好きが高じて、思い切って移住してきましたが、大正解だったと思っていますよ」

 このコミュニティセンターのPR動画撮影やインタビューが一段落ついた頃、
「あの⋯⋯差し支えなければ、連絡先を教えてもらってもいいですか?」
 周りに聞こえない程度の小声で、耳まで真っ赤になりながら、相馬さんはそう尋ねた。

 嬉しかったのに、私の中では黄色信号が点滅していた。赤寄りではなく、青寄りの黄色。
「いいですよ」
 私は、エプロンから付箋とボールペンを取り出すと、自宅のFAX電話――主に祖母が使っている――の番号を書いて渡した。

「ありがとうございます!このあたり、携帯の電波悪いですよね」
 相馬さんは都合よく解釈してくれたようだ。

 何故、もっと素直になれないのだろう。
 実家の固定電話であっても、堂々と電話してくるだけの男でなければ信用しない、などと考えてしまった。