熱く胸を焦がして

 風呂から上がると、祖母がホームシアターで【裏街】を観ていた。

「おばあちゃん、またその映画観てるの?」
「しっ!今いいところなんだよ」
「はいはい⋯⋯」

 ビデオテープなのだから、いくらでも巻き戻せるのだが、そういう問題ではない模様。

 祖母が毎回ラストシーンでおいおい泣くのは、恐らくヒロインの人生と自分を重ね合わせたのだろうけれど、祖母の場合は、ちょっと違う。

 大富豪の妾という立場に甘んじることなく、60年近い歳月をかけるという執念で正妻の座におさまった。
 後期高齢者にして結婚後、すぐに祖父はポックリ死。
 この町の名所、ピンピンコロリ地蔵尊のお陰かもしれない。

 更に、ちゃっかり遺産相続した為、この家は祖母のスペースである離れだけがやたら豪華なのである。

 この祖母の情熱と太々しさが、私にも遺伝していたら、これほど退屈な日々を送っていなかったのに⋯⋯と思う。