熱く胸を焦がして

 初デート前夜、
「若い娘が、もう少しお洒落したらどうなんだい」
 祖母は、手編みの洒落た白いサマーニットをくれた。
 私は大喜びでそれを着てみた。
「ありがとう!でもこれ、体のラインがハッキリ出すぎるよ」
「何がいけないんだい?デートなんだろ?」
 そう言われると、確かにそうだ。

 いつもの服は、虫除けみたいなもの。
 彼は“おばあちゃんフィルター”を通過した誠実な人なのだ。
 普段は雑に束ねている髪を念入りに梳かし、祖母に紅をさしてもらった。

 自宅まで迎えに来てくれた相馬さんに、
「なんだか⋯⋯別人みたいだね」
 そう言われ、気合いを入れすぎたかと恥ずかしくなった。
「いや、悪い意味じゃないよ!もともと一目惚れだったけど、いつも以上に綺麗だから⋯⋯」
 サラッと告白され、
「私も⋯⋯」
 初めて彼のつり眉垂れ目を見た時に、感電死しそうになったのは、一目惚れだったのだろう。