熱く胸を焦がして

 風呂から上がると、今夜の祖母は【浮雲】を鑑賞中。

 また邪魔だと言われそうなので、黙って母屋へ戻ろうとした時、
「萌美。ゆうくん、なかなかいい男じゃないか。お前も大したもんだね」
 わけのわからないことを言われ、ついに祖母もボケてしまったのかとブルーになりつつ、
「誰?ゆうくんって」
「お前、ボケたのかい?電話番号教えたんだろう?」

 その言葉で、点と点が繋がった。
 相馬さんの名前が悠だということを思い出したのだ。
「相馬さんから電話あったの!?いつ!?」
「1時間前さ。お前が風呂に入る前だよ」
「え!?ちょっと待ってよ!まさか、あの武勇伝語ってた相手、相馬さんだったの!?信じられない⋯⋯!なんで私に代わらずにそんなことしたのよ⋯⋯」

 敢えて、殆ど祖母だけが使っている固定電話を教えたのは私なのに、まさかの展開に祖母を怨みたくもなる。

「ホレ、ここにかけ直しておやり」