集会で毎回のように怒鳴り散らかす先生が、保護者の正面に堂々と聳え立ち、恭しく礼をしている。
先輩は最前列で真っ直ぐに背筋を伸ばして、座っていた。
部活動のふざけた姿ばかり見ている私からすると、その姿は別人みたく、ピンとこない。
「卒業証書授与」
禿頭の校長先生がフォーマルなスーツを纏って、壇上に上がってくる。
正面に来た所で、先輩はタイミングよく立ち上がりゆっくりと歩き出していく。
「一条世那」
正面を見つめていた彼は足を翻して、演台へ歩き出す。
「はい」
一息吸って、ニカっと、カメラを軽くぶつけるようなあの調子で笑った。
その声がどこか懐かしくて、目の奥が熱くなる。
中学の自分の卒業式ですら白けていた私には知らない感情。
感情の波がゆっくりと強烈に胸に押し寄せてくる。
その液体が熱いのか冷たいのかすら、感覚が麻痺したまま、心拍が揺れ出す。
目の前を流れていく卒業生の背中の光が靡く。
ギュッと握りしめていた手に丸い滴が垂れた。
スカートのひだ部分に滴が溜まり、撮影旅行の時に見たあの夜空の色に染まっていく。
顎に手を触れて、やっと自分が泣いてるんだって分かった。
泣く理由は全然分からないのに、誰かに操られているかのように涙は永遠に出てくる。
蛍光灯の光が何本もの運命を結ぶ赤い糸になって、溢れ出す。
先輩は私の涙を見つけても、飄々とした姿で体育館を過ぎ去っていく。
黄色い声を上げる子に手を振って。
その馬鹿糞にウザイ顔から、私は意地でも真っ赤に染まった目を反らさない。
「あ、凪ちゃん。あの約束通り、5月にまたね」
不意打ちに先輩はこちらにウインクをチラつかせてきやがる。
さようなら、じゃなくてまたね。
また会える。
先輩は最前列で真っ直ぐに背筋を伸ばして、座っていた。
部活動のふざけた姿ばかり見ている私からすると、その姿は別人みたく、ピンとこない。
「卒業証書授与」
禿頭の校長先生がフォーマルなスーツを纏って、壇上に上がってくる。
正面に来た所で、先輩はタイミングよく立ち上がりゆっくりと歩き出していく。
「一条世那」
正面を見つめていた彼は足を翻して、演台へ歩き出す。
「はい」
一息吸って、ニカっと、カメラを軽くぶつけるようなあの調子で笑った。
その声がどこか懐かしくて、目の奥が熱くなる。
中学の自分の卒業式ですら白けていた私には知らない感情。
感情の波がゆっくりと強烈に胸に押し寄せてくる。
その液体が熱いのか冷たいのかすら、感覚が麻痺したまま、心拍が揺れ出す。
目の前を流れていく卒業生の背中の光が靡く。
ギュッと握りしめていた手に丸い滴が垂れた。
スカートのひだ部分に滴が溜まり、撮影旅行の時に見たあの夜空の色に染まっていく。
顎に手を触れて、やっと自分が泣いてるんだって分かった。
泣く理由は全然分からないのに、誰かに操られているかのように涙は永遠に出てくる。
蛍光灯の光が何本もの運命を結ぶ赤い糸になって、溢れ出す。
先輩は私の涙を見つけても、飄々とした姿で体育館を過ぎ去っていく。
黄色い声を上げる子に手を振って。
その馬鹿糞にウザイ顔から、私は意地でも真っ赤に染まった目を反らさない。
「あ、凪ちゃん。あの約束通り、5月にまたね」
不意打ちに先輩はこちらにウインクをチラつかせてきやがる。
さようなら、じゃなくてまたね。
また会える。



