午前零時、夜に恋をした。

次の日の授業中も、先生の声は右から左へと通り抜けていって、
頭の中はその言葉ばかりがぐるぐると回っていた。

机の上には、私が必死に書いた2冊のノート

自分の分の隣に、夜凪くんの分。
丁寧に、わかりやすいように色ペンまで使ってまとめた
2冊のノートをカバンにしまうと、お昼休みのチャイムが鳴った

カバンを抱きしめるように持って、私は昨日と同じ階段を上る
ドキドキして、昨日よりも心臓の音がうるさい。

錆びついた扉の前に立つ

……いるかな。もし、いなかったらどうしよう

ほんの少しだけ不安になりながら、そっと扉を押した。

キィ……と高い音が響いて、冷たい冬の風が私のローファーをすり抜けていく

「あ…」

フェンスの向こう側。

そこには、昨日とまったく同じ場所で、冷たいコンクリートの床に直接座り込んで、
スマホをいじっている夜凪くんがいた

扉が開いた音に気づいた彼は、めんどくさそうにゆっくりと顔を上げた
髪が風にふわっと揺れて、また胸がトクンと跳ねる

「……遅い、千歳飴」

ぶっきらぼうに、でも私のことを待っていたような声で彼は言った

その口元は、昨日もらったのと同じ、サイダー味のキャンディーの棒が小さく揺れている

「遅くないよ! チャイムが鳴ってすぐ来たもん」

私は少し頬を膨らませながら、彼の前に歩み寄った
そして、カバンから大切に持ってきたノートを差し出す

「はい、これ。昨日の授業のノート。夜凪くんのために、すっごく綺麗に書いたんだからね」

差し出されたノートを、夜凪くんはぽかんとした顔で見つめた
それから、どこか気恥ずかしそうに、でも嬉しそうに目を細めてノートを受け取る

「……ふーん。お前、書いてきてくれたんだ」

パラパラとページをめくる彼の綺麗な指先を見ながら、私は彼の笑顔を見て、心の中で小さくガッツポーズをした。