午前零時、夜に恋をした。

「っ、そんなんじゃないよ! 嘘っていうか、ちょっと用事があるって言っただけだし……!」

必死に言い訳をする私を見て、夜凪くんは「はいはい」と流しながら、
いつものようにコンクリートの床に腰を下ろした
私もその隣に少しだけ距離を空けて座り、お弁当を広げる。

冬の冷たい風が通り抜けるはずの屋上なのに、不思議と寒さは感じなかった

手の中にあるサイダー味のキャンディーが、ほんのりと温かい気がする

「ねえ、夜凪くん」

卵焼きを口に運びながら、私はずっと気になっていたことを聞いてみることにした

「昨日の夜のLINE……夜凪くん、どうして午前零時ぴったりにメッセージくれたの?」

質問された夜凪くんは、お弁当の唐揚げを口に放り込んだまま、一瞬ピタリと動きを止めた
それから、どこか決まずそうに視線を泳がせて、ぶっきらぼうに頭をかく

「……別に。スマホいじってたら、たまたまその時間だっただけだし」

「本当に? 1分も狂わずにぴったりだったよ?」

覗き込むように彼の顔を見ると、夜凪くんの綺麗な耳の端が、
じわじわと赤くなっていくのが見えた。普段は一匹狼でクールなのに、
こういう時にすぐ照れるのがずるい

「うるせぇな、千歳飴。お前こそ、すぐに既読つけてただろ。待ってたんじゃねぇの?」

今度はこっちが意地悪く言い返されて、私は言葉に詰まってしまった。
待っていたなんて、恥ずかしくて絶対に認められない

「……ち、違うもん。たまたま起きてただけだもん」

そっぽを向いた私を見て、夜凪くんはフッと優しく笑った

「まぁ、いいや。……ノートのおかげで、今日の数学の授業、ちょっとだけ意味分かったわ。」

ぶっきらぼうに、でも私の努力をちゃんと見てくれている言葉

胸の奥がトクン、と大きく跳ねる。ひまりに嘘をついてまでここに来て、
本当に良かったって思っちゃう私は、もう完全に重症だ。