記憶が戻るまで

「家はもうすぐ近くですか?」


「えぇ…後5分で着きます…何かと助けていただいた


お陰で…与えられるような贈り物を持ち合わせてないの


が非常に申し訳ないのですが…。飲んでいない飲み物な


らございます。ミルクティーですが飲まれますか?」



「ありがたく、ちょうだいします」手を繋いでない方の腕を伸ばし、頂く。


「やっぱり…何も思い出さないんだな…」


ボソッと呟くと、



「何か言われました…?」とぼけるので、



破顔して一礼。「いえ、意外と僕の家遠いんだなぁと



思いまして」「それなら」と愛が鞄をゴソゴソしだし、


「勘定はこれで…」「いえ僕が払います、女性に払って



もらうのは柄が悪いので」「でも三千ですよ?これくら



い割り勘しないと気が気じゃないので…」流沙は鞄から



スマートな財布を取り出し一万円札を出す。「僕の家遠くと言いましたし三千かかるなら倍かかると思いましたので…」


眉を八の字にし、肩を竦める愛。さすがに一万円札は持ってないようだ。



「お返しどうしましょう…!?梅雨ですから傘とか日持ちするものがいいですよね…!?」