小さな体のマスの気持ちは本当は怯えて仕方が無かった。ダサイヤツと笑われようとも、辛い現実を打破するにはこれしかなかった。これしかないと思い込むのは、マスの個性ではない唯一の欠点かもしれない。マスのようになってはいけない、マスのとった行動の結果しだいでは、長老の言い伝えの伝説の一部に組み込まれるかもしれない。賭け、ギャンブルとはそういうことだ。しかし、苛められてきたマスにとっては、世間一般が詠う平穏な日常そのものがギャンブルそのもの、生死を問う危険なものだった。だから、私はマスの突飛のない川に飛び込む群れを乱す行動を評価したいと思う。私が誰だって?そう、私は何を隠そう、小さな体のマスを死なないように見守っていた蛍のほたろう、だよ。いま少し笑った?変な名前だと思ったでしょ。いいの、いいの、慣れてるから。慣れてさえしまえば、そんなことは平気でどうやっても、やり過ごせることなのよ。私には性別がない。ほんとのこと言えば、性別が決まる前に親が勝手に男の子だと思って名付けちゃったみたい。それは困ることよね。名前って大事なものだもん。あらあら、マスを置いてきぼりにしちゃったわ。あの小さい体のマス、濁流の中をどうやって過ごしているのかしらね。波に飲まれたら一発KOよ。即死ってことよ。怖いことを言うけれど、ふざけているわけじゃないの。大事なことだから濁さずに言うのよ。
