私、季井野 四季(きいの しき)。
今日から高校1年生です。
「ふわぁ…」
私は1つあくびをして、顔をぱしゃぱしゃと水で洗った。
私の性格はひと言でいうと、『ネガティブ』。
そう、ネガティブ。
友達と話したりするときとかに、だ、大丈夫かな!?、今反応遅くなったよね!?話題変えないといけない!?いや、私がまずまず嫌い!?いやぁぁっ…!ってなっちゃう。
かなりのネガティブ思考だと思う。
なんとかこのネガティブ思考を、ポジティブ思考に変えたりできないのかな〜…
そんな事を考えながら、家の長ーい廊下をぼーっと歩いていると、前からきた人とぶつかってしまった。
っ、わ。
私はドスンッとろうかに尻もちをついた。
「「いたっ…」」
私はそうつぶやく。
…あ、ちがった。
私たちだ。
「…あら、四季…よね?おはよう」
「あっ、春お姉ちゃん…だよね?おはよう」
私とよく似ている声、顔。
でも、私とはちがう丁寧な言葉。
季井野 春(きいの はる)。
春の性格をひと言でいうと、『しっかりもの』。
よく言われるのがこれ。
『双子?』
ちがうよ?惜しいけど。
その時だ。
いきなり後ろからバタンッという音が響き、そのあとすぐに、ドタドタドタッという音がきこえた。
びっくりして後ろをふりかえると、その大きな音をだした張本人が私を背後から抱きしめようとしていた前だった。
「おっはよーーっ!えーと、四季と春だよねっ!?」
私と春と似ている声、顔。
でも私たちとは違う語尾に必ず『っ』がついている。
「うん、おはよう、夏お姉ちゃん」
「もう朝から騒がないでよ。……おはよう」
季井野 夏(きいの なつ)。
夏の性格をひと言でいうと、『元気 』。
よく言われるのがこれ。
『三つ子?』
ちがうよ?惜しいけど。
その時、私たちの真横のドアがガチャと音を立てて開いた。
「あ〜、おはよぉ〜…くかっ…」
私と春と夏と似ている声、顔。
でも、私たちとは違うゆっくりな声。
「わー!おはよ!起きて!!秋お姉ちゃん!」
「あらあら、おはよう、秋」
「秋っ、おはよっ!ほーら起きてっ」
季井野 秋(きいの あき)。
秋の性格をひと言でいうと、『おっとりさん』。
よく言われるのがこれ。
『四つ子?』
ちがうよ?惜しいけど。
「春、夏、秋、四季。朝ごはんできてますよ」
その時、静かな声がろうかに響いた。
私と春と夏と秋と似ている声、顔。
でも、私たちとは違う敬語。
「あっ、おはよう!冬お姉ちゃん」
「あら、冬じゃないの、おはよう」
「冬ー♪おっはよーっ!」
「おはよぉ、冬ぅ」
季井野 冬(きいの ふゆ)。
冬の性格をひと言でいうと、『静か』。
よく言われるのがこれ。
『五つ子?』
せーいかーい。
春お姉ちゃんが長女。
夏お姉ちゃんが次女。
秋お姉ちゃんが三女。
冬お姉ちゃんが四女
私・四季が五女。
お姉ちゃんたちは季節ごとにならんでる。
けど、私だけなんで四季?って思うでしょ?
実はお姉ちゃんたちだけが生まれるはずだったらしい、四つ子として。
でもある時、私が突然生まれてきて。
もう名前も春、夏、秋、冬って決まってたのに…。
そうなって、もう四季でいいんじゃない?ってなってこうなったらしい。
私がいなかったら、お姉ちゃんたちは四つ子。
お姉ちゃんたちはすごいし、可愛いけど、私はなんにもない。
そう、なんにもない。
なんだか悲しい気分になっちゃった。
気がつくと、もうみんなキッチンのほうに歩き出していた。
私も立つと、キッチンに向かった。


