おかえりが聞こえる病室

「……。」

亜美は箸を止めた。

「莉奈さん。」

「なぁに?」

「また、くる?」

その問いに、莉奈は優しく笑う。

「もちろん。」

「今日の担当ですから。」

そう言って病室を出ていった。

亜美はその背中が見えなくなるまで見送っていた。

ママがふふっと笑う。

「莉奈さん、優しいね。」

亜美は少し考えてから答える。

「……うん。」

「でも。」

「まだ、ちょっとこわい。」

ママは首をかしげる。

「何が?」

亜美は素直に言った。

「やさしいひとって……。」

「いたいことも、するもん。」

その一言に、ママは何も返せなかった。

確かにその通りだった。

看護師さんは優しい。

でも、治るために必要なこともする。

その両方を、亜美はこれまでの入院で知っている。

だからまだ、心から安心することはできない。