おかえりが聞こえる病室

その頃、ナースステーションでは——。

「莉奈。」

夜勤リーダーだった看護師が声をかける。

「302号室、気になる?」

莉奈はカルテを書きながら笑う。

「初めての入院ですし……。」

「緊張してるのが伝わってきて。」

「うん。」

リーダーは頷く。

「でもね。」

「“かわいそう”だけじゃ看護はできない。」

莉奈も真剣な表情になる。

「はい。」

「ちゃんと良くなるために必要なことは、伝えないとね。」

「そう。」

「寄り添うことと、甘やかすことは違う。」

その言葉を、莉奈は静かに胸へしまった。