おかえりが聞こえる病室

レントゲン室から戻ってきた頃には、時計の針は23時50分を回っていた。

救急外来の処置室。

検査を終えた亜美は、ストレッチャーの上で毛布を肩まで引き寄せ、小さく丸くなっていた。

泣き疲れたのか、目は少し赤い。

それでも眠ることはできず、天井をぼんやり見つめている。

隣ではママが、何度も髪を撫でていた。

「眠れそう?」

亜美は小さく首を横に振る。

「……おうち、かえりたい。」

その一言が胸に刺さる。

ママは笑顔を作ろうとした。

「うん。」

「ママも亜美と帰りたいよ。」

でも、その声は少し震えていた。