魔女の弟子のまあまあ楽しい2度目の人生

オストール一行の滞在も残すところ3日となった頃、大臣や重鎮の貴族も交えて両国間の今後について二国間会議が行われることになった。
そしてなぜかリーナもその場に呼ばれ、ウィルの横に席が設けられていた。

昨日の夜に突然ウィルに言われたのだ。
「オストール側から、どうしてもリーナに会議に出席して欲しいとの要望があってな。どうせケイオス殿の我儘なんだろうけど、すまないな。」

座っているだけでいいから出席して欲しいと言われ、来てみたものの居心地が悪い。
リーナは国王の婚約者だが、今の身分はただの伯爵令嬢だし、国政に携わっているわけでもない。

ウィルの挨拶から始まり、これからの両国の関係について経済的なことや文化的なこと、様々な分野について各大臣から淡々と話が進められた。

私がここにいる必要あるのかしら?

リーナはそう思いつつ、嫌な予感がしてならない。

そして予定されたプログラムもほぼ終盤となった頃、ローランドが突然手をあげた。
「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ。」

ウィルの許可を得て、ローランドが立ち上がった。
「この度シュタインマルク王国を訪れ、初めて触れる文化に感銘を受け、異なる国政を知り大変学ぶことの多い貴重な時間を持つことが出来感謝しています。その中で最も私が出会えて喜びを感じたのがフィリーナ・ラチェット伯爵令嬢。あなたです。」

ザワザワッ

会議室全体にどよめきが起こった。

クレス侯爵が小声で”文官の方じゃなかったのか”とつぶやいたのも、他の者たちの声でかき消され誰にも聞かれていなかった。

どよめきが治まらない中、ローランドはリーナに歩み寄り彼女の前で跪いた。
「フィリーナ嬢。あなたに結婚を申し込みます。誠心誠意あなたに尽くし、必ず幸せにすると誓います。どうか私と一緒にオストールに来てください。」
どよめきは更に大きくなった。

ウィルが立ち上がり2人の間に入った。
「リーナは私の婚約者だ。それを分かっておっしゃっているのか?」
怒気をはらんだウィルの言葉にローランドは頷いた。
「もちろんです。陛下の婚約者を譲っていただくからには、こちらもそれ相応の覚悟がございます。フィリーナ嬢がオストールに来て頂けるのであれば、魔鉱石の輸出に関してシュタインマルク王国との優先売買契約をお約束致します。」