あたしはまだ彼からの話を聞かなきゃ行けないっていうのに
そんなこと思いながら幸人から離れようとした時だった。
「沢谷さん………ごめん。また明日……」
気づいた時には彼は慌てたようにあたしの前から去っていった。
その状況に固まることしかできないあたしと、相変わらずニコニコとこちらに視線を向けてくる幸人。
どうしたの?と言わんばかりの笑顔
「どっか行っちゃったね、僕たちも帰ろう、せいちゃん」
「え?…………あ、うん」
突然どうしたんだろう。
さっきまであんなにいい感じの雰囲気だったのに。
絶対告白だと思ってたのに。
まさかあたしの勘違い?
自惚れ?
悩むあたしをよそに幸人はずんずんとあたしの手を引いて進んでいく。
幸人が彼を鋭く睨んだことで彼が逃げていったことを
この時のあたしは何も知らなかった。
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「おーきろーーーーー!」
声に合わせて勢いよく毛布をもぎ取る
眠そうに唸りながら、あたしのもぎ取った毛布を奪い返そうとするこの寝坊助は、
昨日あたしの人生で何回起こるかわからない一大恋愛イベントをぶっ潰してくれた幼馴染の清水幸人
このマンションに引っ越してきた時に、同じ年の子供がいる家族がお隣さんだった。
それが幸人の家族。
それから小中高とずっと一緒に学生生活を共にしてきた。
「……せいちゃん‥‥眩しいよ」
「朝ですから」
「……あと10分だけ………」
「だめ」
「………けち」
朝が弱い幸人をいつもこうやって起こしにくるあたしの気持ちも考えてくれないかな。
いつになったら自分から起きて来れるようになるんだろう。
このルーティンが始まったのは中学生の頃。
なかなか起きて来ない幸人に困り果てていた幸人ママのお手伝いのためにあたしが起こしに行くと、幸人は起きるようになった。
これからもお願いね、と幸人ママに頼まれてしまった以上、やめるにやめられなくて、今も続いている。
もう高校生なんだし、自分から起きてきなさいよ。幸人よ…。
そんな恨みのような思いを込めて、ジト目で幸人を見つめてみる。
届け。この思い
