この溺愛、誰か止めて下さい!

「せいちゃんってさ、嘘が下手だよね」


「…どーゆーこと?」


「そのまんまの意味だよ」



明らかにいつもと雰囲気の違う幸人の顔を恐る恐る見上げると、今まで見て来た女々しい幼馴染の幸人ではなかった。


「………どうしたの幸人。なんか今日変だよ?」



「変なのはせいちゃんでしょ?」



「何が」



「わかってるくせに…………こんなにスカート短くして、普段しないメイクまでして、知らない男の匂いさせて帰って来て、俺が気づかないとでも思ってんの?」



そういって徐々にあたしとの距離を詰めてくる幸人。


サイドは幸人の手で塞がれているせいで、どうにもこの距離を離すことができない。



「ちょ、ちょっと待って!どうしちゃったの。いつもの幸人じゃないよ!」



いつもの弱々しくて、ヘラヘラしている幸人と違って、一人称も僕ではなく、俺に変わってて、目の前であたしを見ている幼馴染は全く別人に思えた。



「本当のこと言って、せいちゃん」



「……じ…実は………春と2人でカラオケ行ってたんじゃなくて。………合コン行ってたの」



「合コン?」



「ちょっと前に、春に誘われて…」



「それで?」



「それでって…………1人いい感じの子がいて、連絡先こうかっ……」



あたしが最後まで幸人に話すことはできなかった。


最後まで話し終える前に、幸人はあたしの口を手で塞いで、続きを話させてはくれなかった。



唐突の出来事に混乱して、幸人の名前を呼ぼうとするけれど、口を塞がれているせいで、うまく声が出てこない。



「……こんなことなら我慢するじゃなかった………」



あたしの口を塞ぎながら、俯いて何かを言っていたけれど、
なんて言っていたのか、あたしの耳に届くことはなかった。




しばらくして、顔を上げてあたしを見つめる幸人は、完全にあたしの知らない男の子の顔をしていた。