この溺愛、誰か止めて下さい!


「急に呼び出してごめん。えっと…実は俺…沢谷さんのこと」


「ス…ストップ!ちょっとまって!」



「え?……」



突然あたしに言葉を遮られた彼は、驚いたような困惑したような様子であたしを見ていた。


そりゃそうだよね。


この雰囲気、あたしの勘違いでなければ確実に言われる言葉はただ一つ。

でもこんないつ誰が来るかもわからない教室の中でこの続きを話されるわけにはいかない。


「あの…場所、変えてもいいかな?話の続きはそのあとで…」


「えっと…大丈夫だけど…」


「ありがとう」



彼の返答に笑顔で答えると、少し頬を赤らめて、教室の扉を開けてくれた。


その表情に不覚にもあたしも少し恥ずかしさが込み上げてきた。

こんないい雰囲気、壊すわけにいかない。
そう思いながら彼に連れられて教室を出た時だった。



「みーつけた」


あたしたちの後ろから聞き慣れた声が聞こえてきて、
振り返らなくても誰なのかなんてわかった。

だけど、絶対に振り返ってなんてやるもんか。


こいつが来るのを避けたかったから教室から場所を変えたかったのに。


でもあたしよりも、彼がこの声に反応してしまって
足を止めてしまった。


「せいちゃん、連絡したのに返事ないし、どこにもいないから探したよ?」


「………幸人」


「あれ〜?なんかすごい嫌そうな顔」


「……今日は先に帰っててって連絡したはずだけど?」


「そーだっけ?見てないなあ」


「既読ついてましたけど」


露骨に不機嫌な態度を取っているのに、お構いなしにヘラヘラと態度を変えない幸人


やり取りを見ている後ろの彼も戸惑っていた。


「じゃあせいちゃん、帰ろう」


「……は?!」

幸人は勢いよくあたしの手を引っ張った。


自然とバランスを崩したあたしは、幸人の腕の中にすっぽりとおさまる形になってしまった。


「ちょっと、何すんのよ」