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翌日学校へ行くと、担任が私を見るなり心配そうな顔をする。
「佐藤、顔色が悪すぎるな。まだ治ってないだろ」
「実は、ちょっとまだ」
「無理はするなよ。昨日井𡈽が家にプリント届けようかって言ってくれてたから」
私はピタリと足を止める。担任は「あっ」と口を開いて、焦ったように続けた。
「いや、断ったから安心しろ。お前らまだ喧嘩してるんったな。家も近いし、助かると思ったんだが」
私は無表情で首を振る。断ってくれたことだけが救いだった。
――昼休み。私は決めていた。
井𡈽くんと話す。逃げても何も変わらない。
中庭で待っていると、井𡈽くんはすぐに来た。
「沙羅さん、具合はどう? 心配し――」
「もう私に構わないで」
井𡈽くんの言葉を遮って、私は自分の意思を示した。
「嫌なの、もう、井𡈽くんといるのが。怖くて、つらい」
「沙羅さん」
こぶしで顔を覆う私に井𡈽くんが静かに言う。
「最近、眠れてないよね」
どうして知っているんだろう。
「顔色悪いし。疲れてるんだ」
不気味なほどに優しい声だった。
「少し休んだほうがいい。僕がいない方がいいならそれでいいから」
その時は私の言うことを受け入れてくれたのだと思っていた。
その日の放課後。
美咲が私を追いかけて来るまでは。



