花囲い


 とうとう解放されたんだ!

 私はその場でくるくる回り、どさりと花畑に寝転がる。自由がこんなに素晴らしいなんて。  

 手が動く、足が動く! 
 声も――「沙羅」

 ふと顔を横に向けると、すぐそばで同じように井𡈽くんが寝転がっていた。私は顔を引きつらせる。

「好きだよ、沙羅」井𡈽くんが囁く。

「優しくしたい」私は這いずりながら逃げる。

 頭を掴まれて、そのまま花畑に押し付けられる。

「いやだ! いやだいやだいやだ!」

 井𡈽くんが私に覆い被さる。もはや自由などない。揺さぶられるその最中、フォーレの鼻歌が耳元で鳴り続けていた。