花囲い

 私は井𡈽くんのことを誰かに相談しようと思った。

 「怖い」と思うだけでは何も変わらない。このままでは、私のほうがおかしくなってしまう。

 相談相手は一番仲のいい美咲にした。明るくて、おしゃべりで、少し鈍感だけれど悪い子ではない。

 昼休み、人の少ない中庭へ誘うと美咲は二つ返事でついて来てくれた。

「珍しいじゃん。沙羅が相談なんて」

 ベンチに座るなり、美咲が笑う。私はしばらく黙っていた。

 どう説明すればいいのか分からない。井𡈽くんのことが怖いと言うだけでは、全部私の思い込みだと思われるかもしれない。

「井𡈽くんのことなんだけど」
「! うん!」

 美咲は待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。