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ひと言で表すならば、井𡈽くんは素敵な人なんだと思う。少なくとも学校のみんなはそう言っている。
成績はいつも学年上位で、先生からの信頼も厚い。運動部の助っ人に呼ばれるくらい運動もできて、誰にでも分け隔てなく接する。
文化祭では実行委員長を務め、生徒会にも所属している。そして誰もが認める顔面の良さ。
だから女子から人気があるのは当然だし、男子からも嫌われていない。
つまりどうやら私だけらしい。
井𡈽くんを見るたびに、背筋が寒くなるのは。
理由を聞かれても困る。特段なにかされたわけではない。暴言を吐かれたこともないし、嫌がらせを受けたこともない。
むしろ逆だ。困っていれば助けてくれるし、忘れ物をすれば貸してくれる。躓いたら当然のように支えてくれて、重い荷物を持っていれば、「手伝うよ」と微笑む。
だから誰に相談しても同じことを言われる。
「考えすぎじゃない?」
そうかもしれない。私だってそう思いたい。
――だけど。
井𡈽くんは私を見つけるのが上手すぎる。



