「譲れない、彼女。」

沙和の部屋は、
思っていたよりもシンプルで、
きれいに片付いていた。

ふと、
机の前のボードに目が止まる。

何枚か写真が飾られていた。

その中に、

体育祭の時、
俺と一緒に撮った写真があった。

「これって……」

思わず振り返る。

沙和は、
少し照れくさそうに笑った。

「忘れちゃった?一緒に撮ったこと」

「い、いや。覚えてるよ。

でも……
まさか飾ってあるなんて、
思わなかったから」

沙和は、
俺の目を見て笑う。

「やっと信じてくれた?」

少しだけ照れながら、

「私が、
ずっと倫也のこと好きだったって」



不意に、

俺は沙和の手を引いた。

そして、

まっすぐ沙和を見つめる。

沙和の気持ちが、嬉しくて。

胸がいっぱいで。

でも、

何を言えばいいのか
分からなかった。

だから、

沙和をギュッと

抱きしめた。


今の俺には、

これしか

できなかった。