BLUE YELL ―その声が届くまで―

「ごめーん!待った?」

 懐かしい声に顔を上げる。

 大学生の頃と変わらない笑顔。

 その笑顔を見ただけで、不思議と肩の力が抜けた。

「全然です。」

「絶対嘘。」

 美咲先輩は笑いながら私の向かいへ腰を下ろした。

「また早く来たでしょ?」

「……ばれました?」

「凪だもん。」

 二人で顔を見合わせて笑う。

 店員さんへアイスカフェラテを注文すると、美咲先輩はふっと私を見た。

「足は?」

「もう大丈夫です。」

「痛みは?」

「ありません。」

「そっか。」

 美咲先輩は安心したように微笑んだ。

 運ばれてきたアイスカフェラテへストローを差しながら、

「こうしてゆっくり話すの、卒業以来じゃない?」

「ですね。」

「もう三年かあ。時間が経つのって早いなぁ。」

「本当ですね。」

 二人で笑う。

 大学時代は毎日のように顔を合わせていたのに、不思議なものだ。

 それでも会えば、あの頃と変わらない空気が流れる。

 沈黙さえ心地いい。

 グラスについた水滴が、陽の光を受けてきらりと光った。

 私はストローをくるくると指で回しながら、美咲先輩を見つめる。