BLUE YELL ―その声が届くまで―

 少しでも動きが揃わなければ、すぐに練習を止めた。

「もう一回。」

 その一言で、何度同じ演技を繰り返しただろう。

 悔しくて泣いた日も、一度や二度じゃない。

 でも、不思議だった。

 嫌だと思ったことは、一度もなかった。

 誰よりも厳しい美咲先輩は、誰よりも努力していたから。

 朝一番に体育館へ来るのも。

 最後まで残って自主練をするのも。

 いつだって、美咲先輩だった。

 だから私も、もっと頑張ろうと思えた。

 もっと上手くなりたい。

 美咲先輩みたいなチアリーダーになりたい。

 それが、当時の私の目標だった。

 大学卒業後、競技チアを続けられる実業団のある会社へ就職が決まった時も、一番に報告したのは美咲先輩だった。

『やっぱりね。凪なら絶対受かると思ってた。』

 電話越しに笑う声が嬉しくて、少しだけ泣きそうになったのを覚えている。

 あの頃は信じていた。

 この先もずっと、大好きなチアを続けていけると。

 だけど。

 人生は、そんなに思い通りにはいかなかった。