BLUE YELL ―その声が届くまで―

美咲先輩の後ろを歩きながら、私は館内を見渡した。

 壁には歴代選手たちの写真。

 優勝トロフィー。

 そして、大きく飾られたチームスローガン。

『ONE TEAM』

 その文字が、なぜか胸に残る。

「ここがチアの控室。」

 案内された先では、数人のチアリーダーたちがストレッチをしていた。

「おはようございます!」

 私たちに気づいた一人が元気よく頭を下げる。

 それを合図に、部屋の空気が一気に明るくなった。

「美咲さん、おはようございます!」

「今日は見学の子ですか?」

 次々に声をかけられる美咲先輩は、一人ひとりの名前を呼びながら笑顔で返していく。

 その姿は、大学時代と何も変わらなかった。

「紹介するね。」

 美咲先輩が私へ振り返る。

「朝比奈凪ちゃん。」

「オーディションを考えてくれてるの。」

 一斉に視線が集まる。

 少しだけ緊張して、小さく頭を下げた。

「朝比奈です。」

「今日は見学で来ました。」

「よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします!」

 返ってきた声は、思っていたよりずっと温かかった。

 競技チアのような張りつめた空気ではない。

 笑顔が多くて。

 どこか柔らかい。

 それなのに、一人ひとりの立ち姿は驚くほど美しかった。

 私は思わず見入ってしまう。