BLUE YELL ―その声が届くまで―

二人の間に、静かな沈黙が流れた。

 テラス席の向こうでは、小さな子どもが笑いながら駆け回っている。

 その笑い声さえ、どこか遠くに聞こえた。

「……怖いんです。」

 気づけば、そんな言葉がこぼれていた。

 美咲先輩は何も言わない。

 ただ、静かに続きを待ってくれる。

「また好きになったら。」

「また失ったらって思うと……。」

 最後まで言葉にならなかった。

 あんな思いは、もう二度としたくない。

 夢を失う痛みを、私は知ってしまったから。

 美咲先輩は優しく笑う。

「そうだよね。」

 否定しない。

 励まさない。

 ただ受け止めてくれる。

「でもね、凪。」

「好きなものを失うのが怖いからって。」

「好きになることまでやめちゃったら。」

 一呼吸置いて、私を見つめる。

「それは、もったいないよ。」