真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 「本当に素っ気ないね。そんなんじゃいつまでたっても彼女できないよ⁇年末年始でも実家に帰らないから、この前私が帰った時におばさんが心配して、近くにいるなら様子を見てきてって頼まれたの。うちの薄情長男は全然連絡もしてこないだってさ。」

 沙奈は嫌味たっぷり言ってくる。俺は母さんの差金かと何となく納得した。

 「彼女だったらいるし…。今喧嘩してるけど…。」

 俺は少し虚勢を張ってボソッと言ってみた。でも喧嘩しているという所に自分の自信の無さが表れてしまう…。

 「嘘⁇誰だれ⁇どんな人⁇ぶっきらぼうで物言えぬ大一と付き合う人なんているんだ⁇」

 失礼極まりないけど当たっている。

 「別にお前に言うことじゃない。そもそも清一と喧嘩してるなら清一に直接言えばいいだろ⁇」

 母さんに言われたのは分かるけど、何で俺のところに来るんだよ。もう何年も会ってなかったのに、わざわざ俺のところに訪ねてくるなんて疑問に思わずにはいられなかった。