真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 その後は話すチャンスもなく、片付けも終盤に差し掛かった時、園長先生の息子さんの良樹《よしき》先生に話しかけられた。
 良樹先生は歳は確か33位で、園長先生と理事長先生の息子さんだ。
 いずれは良樹先生が小鳥っ子保育園を継ぐのだとみんなが噂していた。
 見た目も爽やかで優しくて話しやすく、保護者のお母さん達のアイドル的存在で信頼も厚く人気の先生だ。

「花凛先生、片付け大丈夫でしたか⁇」

 私を気遣ってか良樹先生が声を掛けてくれた。

 「はい。大丈夫です。みなさん手伝ってくれたので早く終わりました。無事に終わって良かったです。」

 良樹先生は話しやすくて見た目も悪くないのに、残念ながらまだ独身だ。

 そろそろ自分も結婚したいんですけどと、冗談でいつも言っている。

 「そう言えば倉庫の荷物が落ちてきてしまったとか⁇凛先生は大丈夫でしたか⁇」

 私に気を遣ってくれる良樹先生はやはり優しい。

 「大丈夫です。消防署の人がたまたま助けてくれて、私は何ともないんです。」

 私は改めて長内さんが助けてくれた事に感謝したい気持ちになった。

 「なら良かった。今度からは高い所の荷物を取るときとかは僕に言ってくださいね。」

 一応背は僕の方が背が高いのでと付け加えて言ってくれた。
 
 「あ、はい。今度からはお願いしようかな⁇有難うございます。」

 良樹先生は優しいなといつも思う。こんな人が次期園長なら、小鳥っ子保育園は安泰だなと人事ながらいつも思うのだった。
 
 そんな会話をしているうちに、消防署の人達はあっという間に片付けを終え、帰る時間になった。