真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 「娘はいつも自分のことは二の次で、人の事ばかり考えてきた優しい子なので、この子を幸せにしてやってください」

 そう言ってお父さんは再度大一に深々と頭を下げた。
 
 「はい。幸せにします。」

 大一がハッキリとそう言ったから、私は堪えていた涙腺が遂に緩んで泣いてしまった。

 「お父さん、うちらまだ一緒に暮らすってだけだし、これじゃもうお嫁に行くみたいだよ。」

 私が話の水を差すようだけど。と言って話に割って入ると、お父さんはそうか。そうだな。と言って笑った。

 それからは何となく場が和み、二人は仕事の話とか、野球の話とか、あまり喋れない二人なりにお酒を飲みながら話していた。

 良かった。意外と普通に挨拶できた。私は心から安堵したら。

 結局私の実家でお昼過ぎから夕方くらいまでいて、ずっとお酒を飲みながら3人で話し、私達は帰る事になった。

 「またいつでも帰って来なさい。」と言うお父さんに、「うん。また帰って来るね。」と言って私達は実家を後にした。