真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 日曜日。私と大一は2人で私の実家を訪問する事になった。

 いつもにも増して口下手な大一が遂に無口になって固まってしまっている。

 「大一、大丈夫だから固まらないで。お父さん怖い人じゃないから心配しないで。」

 見兼ねて話しかける私に大一は胃が痛くなってしまったのか胃の辺りを押さえている。

 「無理。緊張する…。」

 「大丈夫、絶対大丈夫だから。私が全面的にフォローするから。」

 必死に大一を宥めて私達は実家の扉を開けることになった。大一はやっぱり緊張するのかハーと一つ深いため息をついている。
 
 家の父親には私から事前に連絡をし、会うことの了解を得ていた。

 「ただいま〜。」

 私は実家の家の引き戸をガラリと開けた。割合ちょこちょこと帰っている実家だが、今日は大一も一緒だから何となく緊張してしまう。

 「ああ来たか。」と中からお父さんが出てきた。お父さんはいつものようにワイシャツにズボン姿でちゃんと格好を整えていた。

 中学校の教師をしているうちの父親は昔からあまり喋るほうではない。昔から父親は休日も返上して仕事をしてきた。

 最近では休日はちゃんと休みをとるようになったらしく、家にいることもあるようだ。

 もういい歳なので、ちゃんとお休みをとって欲しいと常々思っていたからホッとした。