真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 「送ってくれて有難う」

 自宅までの道のりを私達は手を繋いで帰った。お礼を言って大一と離れようとした時…「花凛。」と呼び止められ、咄嗟に腕を掴んで引き寄せられる。

 私は大一の腕の中に収まり、不意にぎゅーっと強く抱きしめられた。

 「大一どうした⁇」

 私は大一の胸に蹲りながら大一の顔を見つめて不思議そうに訊ねた。

 「ごめん…。つい離れがたくて…。」

 そう言って大一はまた私を強くギュッと抱きしめる。どうしたんだろう⁇大一が離れ難いとか珍しい…。

 「私も離れ難いけど、明日は仕事だから…。また連絡するね。」と言って私は大一の唇にチュッとキスをした。

 「そうだよな…。ごめん。また…。」と言って大一は私を解放した。
 
 私を見送る大一がまだ何か言いたそうな瞳でこっちを見てたけど、それが何でなのか私には分からなかった…。