真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 その後も花凛は仕事で疲れていたのか全く起きず、俺はおんぶして送っていくことになった。

 花凛をおんぶするのはあの夏以来だとなつかしくなった。花凛は相変わらず俺におんぶされて気持ちよさそうにむにゃむにゃと寝ている。

 「何で連絡もしてこないの⁇会いたかったのに…。」と寝言のように花梨が言っていて、ああそっか。俺は連絡すれば良かったんだと花凛の本当の気持ちに気付くのだった…。

 「俺も会いたかったっつうの…。」

 グッスリ寝ている花凛には聞こえるはずもないけど、俺は照れながらその言葉を口にした。実際に言えないのは、やっぱりそういう性分だからだと思う…。

 花凛のアパートに着くと部屋の明かりがついていた。インターフォンを鳴らすと、弟が出てきた。

 「はい。花凛、酒飲んだの⁇」

 弟はハーとため息をついている。

 「姉がすみません。もしかしなくても彼氏さんですよね⁇」

 「あー、はい。お姉さんお酒飲みすぎて寝ちゃったので、送ってきました。」

 あーもう。あれ程飲みすぎるなって言ったのにと言いながら弟は家の中に俺を誘導した。