真夏の一夜は恋の始まり(新装版)

 帰り道、「今度大一の彼女に会ってみたい。おばさんに報告しなきゃだから。」と楽しそうに沙奈に言われた。俺は「母さんに余計な事言うな。」と釘を刺して言ってみた。

 根も葉もない事まで言われたら困るからだ。家の母さんはミーハーでお喋りだ。母さんに言ったら絶対に実家に連れてこいと言われるのが目に見えていた。

 「いいじゃん。大一の浮いた話とか初めてだし。これはおばさんに報告でしょ。」

 沙奈はウキウキして嬉しそうだ。

 「まあ言ってもいいけど…。」

 俺は照れたようにボソッと言ってみた。

 「ふーん。本気なんだね。」

 沙奈はいやらしい目でこっちを見ている。

 「その目は止めろ。」

 俺たちは笑って話した。沙奈を駅まで送っていき、俺たちは別れた。

 大一も早く仲直りしなよ。と沙奈に言われた言葉を思い出す。寮に帰った俺は花凛ともう一度話そうとスマホを見た。

 『ごめん。私達暫く距離をおこう。』

 花凛から一言LINEが入っていた。俺はその画面をただ茫然と見つめるしかなかった…。