だから、言って。
早く、言って。
ユキが、私を追いかけてこられなくなるほどの。
そんな、とびっきりの嘘を――……
「ユキさんじゃ、私を守れっこありません」
「なん……で」
「だって、ユキさんには何もないじゃないですか。権力も、地下の売人に対抗できる力も。何ひとつ、シトウには敵わない」
「やめろ……」
「ユキさんじゃ、無理」
「………」
繋がれていた手が、力なく、解けた。
私は逃げるように三歩、後ろへ後ずさる。
ユキから目を逸らした。
――『私……これからもAnBarに居たいです』
――『かぁこは、AnBarに居たいの?』
うん。
AnBarが、大好き。
――『何かあっても、気付いたら帰ろうってなるんです』
――『帰る場所だから』
――『俺は店をつくっただけ。そこをお前が、居場所にした』
何度も私を安心させてくれた温もり。
ゆっくりと流れた愛しい時間。
大切な、私の居場所。


