余所者-よそもの-【 3 】




彼の視線はじっと留まった。

息すら止めて、微動だにせず。


やがて、キリキリと拳を握る。



「……地下の……売人」



低く呟いた唇は、そのまま声もなく、ゆっくりとそれをかたどった。

『コロス』、と。



「……ユキさん」


私が彼を呼べば、気が付いたように手の力を緩めた。



「酷いことを……されました。でもシトウの紫藤が、助けてくれた」

「………」


「怖いんです。だから私、行きます」



耳鳴りがする。

嫌だ、嫌だと叫ぶ心を無視して、口だけが嘘を塗り重ねた。



「俺が……守る、から」

「………」

「何に変えても、何を失っても」

「………」

「俺は、お前しか要らない……っ」


「……いいえ」



ユキさん。

それは違う。


ユキに必要なのは、私だけじゃない。


ユキや、サンコン。

バンに、潤、リンコ。


みんなのきらきらとした笑顔を包む……

ユキの作った、この場所。





――私も、ユキさんの大切なものを、守りたい。