「俺、買い物行ってくる」
ユキはそう言うと、リンコを追い越し、私のすぐそばにやってきた。
「何か食べたいものある?」
食べたいもの……。
正直、食欲は湧かない。
考えていると、リンコが代わりに口を開いた。
「どこに行くの?」
「近くのスーパー」
「だったらフルーツとか。あとスープとかも買ってきて」
ユキは「わかった」と返事をすると、そっと私の頬に触れた。
「……すぐに帰ってくるから」
眉を下げるユキは、触れる手からゆっくりと私の頬に温もりを分けた。
やがてスッと引いた手は、とても名残惜しそうに、
「………」
指先だけが、しばらく残った。
「何かあったら遠慮なくリンコに言って」
「言われなくてもやるし。アンタに言われると腹が立つわ」


