余所者-よそもの-【 3 】



――目の前には、AnBarの黒く重厚な扉。


「………」


それはまるで、地獄へ続く入口のように見えた。


どうしたって竦む足。

取っ手に手を掛けたまま、なかなか動き出せない。


そんな私のすぐ隣ではシドが、軒先の壁に凭(モタ)れて煙草を吹かしている。



「一緒に行くか?」



まるで脅しのような言葉に、首を大きく横に振った。


シドは『表で待っている』と言った。

だけどいつ、気が変わってしまうかわからない。


……早く。早く、行かなきゃ。



重い扉を押し開けた。

横目でチラリと、シドが入ってこないか確かめて。


店内に滑り込み、音を立てないように気を付けながら、そっと内鍵をかけた。