「お前は、まだ間に合う」 「………」 「触れられる……手が、届く」 「………」 「二度と失くさねぇ」 やめて――と、両手でシドの胸を強く押した。 「俺のそばにいろ」 いやだ――と、抵抗すれば、掴まれた手首はベッドへ押しつけられた。 「俺から離れるな」 苦しい――と、喉の奥で悲鳴を上げれば、大きくて熱い手が、私の両手をひとつにして頭上でまとめ上げた。 手首に食い込む痛みに、小さく息を呑む。 「もう、失くしたくねぇんだよ……っ!!」 その悲鳴みたいな声は、私から抵抗する力まで奪う。