距離の出来たリンコの顔は、言葉通りだった。
凛々しいはずのその顔が、今にも泣き出しそうなほど、くしゃりと歪んでいる。
そんなリンコは、私の顔を大きな手でペタペタと確かめるように触れた。
「酷い顔。可哀そうに」
何も言えない私。
返事は要らないとばかりに、リンコは話し続ける。
「アンタ店に居ないし、電話かけてもずっと繋がらないし。サンちゃんに聞いたらユキちゃんの家だって言うから」
……そうだ。スマホ。
自分のスマホは、どこにも見当たらなかった。
きっと地下の売人にポケットから抜かれてそのまま。
あの場所に置いてきてしまった。
「でね?何度も何度もユキちゃんに電話して、家教えろって言うのに全然教えてくれなくて。やっとよ?さっき口を割らせてやった」
ふん、と鼻息を粗くしたリンコに、ユキは「しつこかった」と一言だけ返した。
「にしても、アンタ顔色が悪いわ。もう何か食べられるの?」
そう尋ねたリンコに、私が口を開くより早く、ユキが答える。
「食事はこれからだ。ほぼ水分しか摂れてない」
「じゃあ温かいものがいいわね。アタシ、おかゆでも作りましょうか」
「……作れるのか?」
まるでお前が?といった具合で目を丸くしたユキに、リンコが「おかゆくらい誰にでも作れるでしょ」と返す。
「案外と役に立つ……」
そう呟いたユキは、おかゆすら作れない。


