余所者-よそもの-【 3 】



距離の出来たリンコの顔は、言葉通りだった。

凛々しいはずのその顔が、今にも泣き出しそうなほど、くしゃりと歪んでいる。


そんなリンコは、私の顔を大きな手でペタペタと確かめるように触れた。


「酷い顔。可哀そうに」


何も言えない私。

返事は要らないとばかりに、リンコは話し続ける。


「アンタ店に居ないし、電話かけてもずっと繋がらないし。サンちゃんに聞いたらユキちゃんの家だって言うから」


……そうだ。スマホ。

自分のスマホは、どこにも見当たらなかった。


きっと地下の売人にポケットから抜かれてそのまま。

あの場所に置いてきてしまった。


「でね?何度も何度もユキちゃんに電話して、家教えろって言うのに全然教えてくれなくて。やっとよ?さっき口を割らせてやった」


ふん、と鼻息を粗くしたリンコに、ユキは「しつこかった」と一言だけ返した。


「にしても、アンタ顔色が悪いわ。もう何か食べられるの?」


そう尋ねたリンコに、私が口を開くより早く、ユキが答える。


「食事はこれからだ。ほぼ水分しか摂れてない」

「じゃあ温かいものがいいわね。アタシ、おかゆでも作りましょうか」

「……作れるのか?」


まるでお前が?といった具合で目を丸くしたユキに、リンコが「おかゆくらい誰にでも作れるでしょ」と返す。


「案外と役に立つ……」

そう呟いたユキは、おかゆすら作れない。