余所者-よそもの-【 3 】


――――……
――……


車内を満たすのは、息苦しいほどの沈黙。


シドは私を後部座席へ押し込むやいなや、無言でハンドルを握り、車を発進させた。


二人きりの車内。

多夜の姿すら、ここにはない。


ガタゴトと揺れるシートの上で、ズキズキと痛む肩をそっと押さえる。


シドに強く掴まれたから、痛いのか。

それとも。

脳裏に焼きついた、千景の壊れた腕を思い出して痛いのか。


……どっちなんだろう。



しばらくして、車が停止した。

シートベルトを外す音がして、運転席のドアが開く音が続く。


車がわずかに揺れるのを感じると共に、シドが車を降りたことを確認した。

エンジンはかかったままだ。


俯いていた顔を上げると、

――ピー、と隣のスライドドアが開く。


「………」


ドアが開ききるまでの時間が、やけに長く感じる。


私はごくり、と、生唾を呑み込んだ。


背筋に嫌なものが、ぞわぞわと這い上がった。

怖くて、怖くて、仕方がない。


私のことも、千景みたいに殴るのかな。


それとも前みたいに。

私の首筋に歯を立てて『カエデ』って呼ぶのかな。